第7回 「ヴェノム」
連休の後半、昼下がりのひとときをたっぷり観てしまいました。
こいつ。
というわけで「ヴェノム」です。
ここまで邦画の、結構古いところが多かったからね、そういう趣味なんだろうと思ったでしょ。
何でも観るよ。恋愛ものとホラー以外は。
ホラーはコケ脅しが酷いと鼻白むし、恋愛ものは近所のニイちゃんネエちゃんがどうしたとかは靴の裏よりどうでもいいので基本観ません。
ありえないだろという状況下でも変わらない、そんな場だからこそあらわになる、人間というものの姿を描くからこその物語だと思ってるので、SFやミステリは観るけど、個人の夏休みの絵日記レベルのものを見せられたところで、何を言えばいいの。ひまわり上手に描けたねえとかぐらいしかコメントしようがないでしょ。
そんなことはどうでもいい。
いやあ、トム・ハーディいいわ。MMFRではきったねえ格好で、生きていたいのかくたばりたいのかすら自分でも判然としないおっさんを見事に見せてくれたけど、今回は、曲がったことは大嫌いだけどアパートの向かいの部屋にうるせえと怒鳴ることさえできないチキンなニイちゃんぶりが絶妙で、大企業の犯罪告発しようとしてクビになり、結婚間近だった婚約者にも振られて、半年で以前の蓄えで食いつなぐズンドコ生活。それでも人のよさと天性の愛嬌で街の人たちに支えられていたところで、ひょんなことから生き物は何でも食っちゃう腹っ減らしの宇宙人と自分の体をルームシェア生活に! いや、だって「寄生」って言うとご機嫌損ねるから。
最初は何でも食っちゃうつもりで地球に来たら、なんか意外と面白い場所で気に入っちゃったので、おそらく半年の酒クズ生活でガッタガタになった体を健康にしてやる代わりに俺ちゃんをおまいの体に住まわせろ、ということで、まあこの画像の通りの力関係ですね。
ヴェノム君にしてみれば、その辺を飯がヒョコヒョコうじゃうじゃ歩いてるわけで、でも無闇に襲わなくなったのは宿主にしてる相棒が総合的に困る→俺も飯に困る、という構図があるからで、なし崩し的に究極の共同生活がスタート。で、この凸凹コンビがまず立ち向かうのが、ヴェノム君と一緒に地球へ来ていた凶悪な同胞。ヴェノム君は移動のために一時的に体を借りた相手を殺してないし体に問題ない状態で離れてるけど、たぶんこいつは用が済んだら食っちゃってるような気がする。基本常に腹減らしてる連中みたいだし。
しかし、別れた男の様子がおかしいってちゃんと心配してくれる元カノもすげえいい子だし、後釜の医者やってる彼氏も一緒に心配して、自分で職場の病院に連れて行って検査してあげるのめちゃくちゃいい奴だな! まあ、彼女も人間としてすごくいい人なのよねえ、ぐらいには思ってる節はあって、より戻す気はないけどいい友達にならなれる、ぐらいの距離か。ヴェノム君に体貸してやって助けに行ったもんねえ。
ちなみに、内藤泰弘先生のファンの間では有名な話だし、内藤先生ご自身も公言してますが、このコンビがあのコンビのモデルになっているそうで、
「すげえ悪い奴とすげえ善人がタッグを組んで戦う」というので、どのぐらい悪いんだと思ってたら、ヴェノム君は悪い奴というよりは、腹減ってるガキ大将ぐらいの感じでした。「食べていいのはすっごい悪い奴だけ」「いい人は食べちゃダメ」って釘刺されて「わかった」って、結構素直だな! あと主人公のエディ君よりハマー君の方が天然色が強いですね。
確かにイメージの源泉はあるんだけど、でも内藤先生すげえな。完全に別のコンビです。これが神の御業か…。
話がそれた。
それにしても、エンドロールのあたりでいきなりブッ込まれた「スパイダーマン」のアニメパートは何だったんだってばよ。
まあいい。エディ君すげえいい奴で、トム・ハーディは結構素でやってるところがあったのかなかったのか、答えはすべて風の中。本人もすげえいい人なんだよねえ。ロンドンで車走らせてたら、隣で信号待ちしてたバスの運転手のおネエちゃんが「マックスー! 」って呼びかけたら手ェ振って「フュリオサー! 」って答えたりしてくれるんだぜ。気さくか!
いうたらこの映画は、コンビ結成秘話みたいなもんなので、このあとの2人の活躍がどうなるのか、もうちょっと観たいところです。確か2作目あったよね?
そのうち続編をどこかの配信サイトで見かけたら観ようと思います。
ちなみにトム・ハーディは、MMFRからこの映画を観て、更に「裏切りのサーカス」を続けて観ると、変化の激しさにひっくり返れますよ。驚いたか。ってうちの鶴さんが言ってた。
さっき一緒にこの映画観てたら、MMFRの主演俳優だっていった途端にこんな顔になってたもんね。
しかしあのアニメパート、あれはどこに繋がってるんですかね。