第15回 「日本沈没」
1月も半ば近くなりましたが、ついに非常事態宣言出ましたね。まだ部分的ではありますが、全国規模になるのもそう遠くないと思われますね。
で、もともと冬場は仕事が暇なところへそれなもんだから、もう死ぬほど暇。お茶のストックもやばい。
主にお茶の残量への不安からとち狂って、今日はこれ。
よりにもよって1973年版。剛君とか柴咲コウ嬢でない方だ。どうだ。ポスターからしてくどいだろう。
キャストの芝居も温度湿度ともに高め設定。もはや藤岡弘、氏の頼もしさだけではフォローしきれねえぞ!
お話自体はタイトルのまんまです。
海底の調査中に地層の不穏な動きを見つけた学者が、総理肝煎の非公式プロジェクトに参加。徐々に回数が増え規模が大きくなる地震の中、プロジェクトチームは必死にデータを取り、最悪の事態を予測し、一般市民に避難を呼びかけ、いかに日本国民を一人でも多く沈みゆく日本列島から脱出させるか、八方手を尽くす、という、政府中枢に近いところから状況を描いております。
展開は、以前観た「復活の日」同様、やっぱり原作の小松左京先生のルサンチマンとかトラウマがこれでもかと盛り込まれております。お味の濃さはラーメン二郎ばり。
中盤、日本からの避難民を受け入れてもらえないかと、国土面積の広い国に手当たり次第交渉するんだけど、どことははっきり言わないものの、国家元首に極秘で面会して「これはそうりから個人的にプレデント」って仏像出したり、あからさまな袖の下なんだけど、それにしたってしょぼいし、そんな個人的になんかもらったからって、それが即座に国政、それも何百万の難民受け入れなんてでかい規模の政策につながるわけねえだろ。
あとたぶん、メインのストーリーにおっさんばっかりで華がないからなんだろうけど、海底調査のために雇われた潜水艇のパイロットな藤岡弘、氏と成り行きで婚約するヒロインにいしだあゆみが出てるんだけど、見事に本筋と関係なくて、なんかただただ華やかさが欲しくて恋愛要素ねじ込んでみた感がすげえ。あまりに違和感しかなくて逆に不憫だった…。
だって、藤岡氏が思っくそ「君のことが好きなのかまだよくわからない」って言っちゃってて、でも藤岡氏はナイスガイなので致したら男として責任持つし身を固める覚悟もするだろうけどさあ、好きなのかどうかもわからないけどとりあえず結婚の約束はした女の子を、災害に巻き込まれたからとはいえ、あんな必死に捜すか? 責任感だけだぞ。あそこで彼が持ってるのは。そこまで強い動機になりうるか?
という、俺個人の違和感はひとまず置こう。
人間の本性は非常時に出やすくなるとは言いますが、本編中、総理選任の際に口を利いたとかいう、政財界の黒幕な爺さんが、個人的に高僧と社会学者と心理学者を呼び寄せて、政府への方針案をまとめさせるんだけど、そこで実務的なプランの他に余禄として出た3人の私見の総まとめが「何もせんほうがええ」。
今、この状況下でこれを見ると非常に生々しい。
で、作中で日本政府は、避難民の受け入れ先を探すと同時に、皇族はアメリカ・ヨーロッパ・アフリカの3ヶ所へ分散して避難。国土がなくなるこの期に及んで尚「国体」とかそういう言葉に代表されるものだけは守ろうとする。
いや、まあそういうファンタジーがないと生きていけない人がいるのもわからんでもないけど、私個人としては、何かに帰属してるから生きていられるという意識がめっさ低いようなので、その辺の心理は理解できなくはないけど、それよりまず行った先でどうやって生きるかが重要なんじゃないのと思った。
で、この映画の最大の見どころ。
特撮。↑こちらでジュン君がが全部解説してくれてる。
コレな。
とにかくボッカンボッカン爆発と火事と大水。
で、人間が出てくるとひたすら地味な画ヅラに。
全体的な感想は「とにかくくどかった」。
まあ、いっぺん観ておく分にはいいと思います。特に今のこの情勢下で。
コレと「復活の日」二本観れば、小松左京先生の大東亜戦争へのルサンチマンとかが窺い知れて、なんか香ばしい気分になります。
最後にひと言。
二谷英明が若いのでちょっと驚いた。